そこにあるだけでパッと空間を明るくしてくれる、華麗で存在感たっぷりなダリアの花。色や形、咲き方もさまざまで、フラワーギフトの主役として高い人気を誇ります。
今回はダリアを贈ろうと考えている方向けに、その花言葉や由来、プレゼントにおすすめのシーン、特徴・基本知識などをご紹介していきます。
メキシコからグアテマラの高地が原産のダリアは、1789年にスペインにもたらされました。「ダリア」という名前の由来は、この花を紹介したスウェーデンの植物学者アンドレー・ダールにちなんだものです。
日本には、オランダを通じて1842年に伝わり、明治時代中期から盛んに栽培されるようになったと言われています。
和名は「天竺牡丹」と言いますが、この「天竺」とは、元の意味はインドのことを指すものの、遠方や舶来を表す言葉でもあります。つまり、“遥か彼方の異国からやってきた、牡丹に似た美しい花”という意味を込めて、この名前で呼ばれるようになったのです。
ダリア全体の花言葉は「エレガント」「優美」「希望」「清々しい美しさ」です。
花色が豊富なダリアは、色に応じて花言葉も変わります。詳しくは次章「《色別》ダリアの花言葉」で詳しくご説明します。
ダリアは、ナポレオンの1人目の妃だったジョゼフィーヌ・ド・ボアルネが、バラとともに特に愛した花でした。
ダリアの花は赤・ピンク・黄・オレンジ・白・紫・複色など花色が豊富で、一重咲き・八重咲き・半八重咲き・ポンポン咲きといった咲き方もたくさん。ジョゼフィーヌは庭で数多くのダリアを育てていたと言われますが、豪奢な庭園のなかでもとりわけ目を引き、見飽きることがない多彩な美しさだったのでしょう。
ジョゼフィーヌのダリアへの寵愛ぶりは、その美しさに「ダリアの球根を分けてほしい」と頼んできたとある貴族の頼みを断って独占しようとしたうえ、庭師を通じて球根が盗まれると、激怒のあまりその貴族を追放してしまったほどだと伝わっています。
ダリアは丈夫で草丈も高く成長し、スッキリと清々しく伸びた茎の先に気品のある華麗な花を咲かせます。その場も空間までも明るくしてくれるその美から、これらの花言葉が生まれたものと考えられます。
ここからは、「白」「赤」「黄色」「ピンク」と色別にダリアの花言葉をご紹介します。
白のダリアの花言葉は「感謝」です。
白であっても華やかで、1輪だけでも存在感のある白のダリアは、花嫁の持つブーケなどウェディングシーンで人気があります。
花言葉にちなんで、感謝を伝えるアレンジメントや花束のメインにするのもおすすめです。
赤のダリアの花言葉は「華麗」「栄華」です。
数多いダリアの花色のなかでも特にゴージャスな赤。赤い色には華やかさとともに「勝利」のイメージがあり、おめでたい場でも使用されます。
ダリアの切り花の旬は9~10月ですが、それ以外でも通年出回っていますので、クリスマスやお正月などパーティーやおめでたいイベントの装飾・祝花にもぴったりです。
黄色のダリアの花言葉は「優美」です。
ダリア全体の花言葉とも同じですが、赤やピンクなど特に華やかな色と比べると、黄色のダリアは少し落ち着いた雰囲気があります。「優美」とは上品で穏やかな美しさであることを意味する言葉ですが、まさにダリアの本質を表した色かもしれませんね。
黄色は古来から高貴な色であると同時に、明るくポジティブな幸運の色とされてきました。長寿祝いなどのお祝いの場面で贈るギフトにぴったりです。
ピンクはダリアのなかでも特に人気の高い色ですが、実は固有の花言葉がありません。
従って花言葉をクローズアップして贈りたい場合は、ダリア全体の花言葉である「エレガント」「優美」「希望」「清々しい美しさ」として贈るのが良いでしょう。
またダリアの1品種である「皇帝ダリア(キダチダリア/コダチダリア)」は、草丈が3~5mにもなる高性種ですが、可憐な淡いピンク色の花を咲かせ、「乙女の真心」という固有の花言葉を持っています。
ダリアをプレゼントするのに特におすすめなシーンは、以下のものがあります
■誕生日祝い
丸く可愛らしいポンポン咲きや、1本でも豪華な八重咲きなど、ひと口にダリアといってもいろいろなタイプがあります。
また可愛らしいピンクやクリーム色のほか、スタイリッシュな赤や紫、ビビッドなマゼンタカラーなど色も豊富なので、贈り先の方の好みに合う色形を選ぶことができるでしょう。
存在感のあるお花ですが意外と他のお花と合わせやすく、華やかなアレンジメントや花束を作ることができますよ。
■長寿祝い
長寿祝いには、60歳の還暦で「赤」、70歳・77歳の古希・喜寿で「紫(紺)」、80歳・88歳の傘寿・米寿で「黄色」、90歳の卒寿以上で「白」…といったように、それぞれ固有のお祝いの色が決まっています。
ダリアの花色の豊富さであれば、それぞれのお祝いに相応しいぴったりの色が見つかるでしょう。
洋風のイメージが強いダリアですが、和風のアレンジのアクセントにもぴったりです。華やかで上品なダリアで、喜ばしく特別なお祝いを彩ってみてはいかがでしょう。
■退任・退職祝い
お世話になった会社の人や取引先の方が退任・退職される際には、それまでの感謝を込めて関係者で集まり、お花を贈ることが多いものです。
高級感のあるダリアを使ったアレンジメントや花束は見栄えがするため、退任・退職祝いのセレモニーにもぴったりです。
ここからは、ダリアをプレゼントする際に特におすすめの渡し方をご紹介していきます。
切り花を束ねて美しくラッピングしたものが花束です。
花束ごと好みの花瓶に生けてお部屋に置いたり、数輪ずつ小瓶やグラスに取り分けてテーブルに飾ったりと、贈り先の方のインテリアやスペースに応じて、思い思いの方法で楽しんでいただけるのがポイントです。
色や咲き方が豊富なダリアは、異なる種類を組み合わせてダリアだけの花束にしても見栄えがしますし、もちろん他のお花と組み合わせてもOK。
器の中に水を含ませた吸水性スポンジを入れ、そこにお花を生けたものがフラワーアレンジメント(アレンジメントフラワー)です。
花瓶いらずで届いてすぐに飾れるため、お花に慣れていない方、花瓶をあまり持っていない方へのプレゼントにも最適。またフラワーデザイナーによって考えられた、お花がもっとも美しく見える飾り方で楽しむことができます。
スタンド花(スタンドフラワー)とは、専用のスタンドにフラワーアレンジメントを施した装花のこと。スタンドによって人の目の高さにお花が来るため、視線を集めやすく華やかな場の雰囲気作りをしてくれる存在です。
スタンド花は開業・開店祝いや展示会・コンサートなどの祝い花、楽屋花などによく使われます。華やかな場に置き広く人目を集めることを目的としているので、大ぶりで色合い鮮やか、華麗なダリアの花がぴったりです。
ここからは、ダリアの特徴や基本知識についてご紹介しましょう。
科・属 | キク科ダリア(テンジクボタン)属 |
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学名 | Dahlia |
和名 | ダリア |
別名 | テンジクボタン(天竺牡丹) |
英名 | dahlia |
原産地 | メキシコ、グアテマラ |
開花時期 | 6~11月 |
出回り時期 | 通年(最盛期は9~10月) |
誕生花 | 10月23日 |
ダリアはキク科ダリア属の多年草。メキシコからグアテマラにかけての南米を原産とする植物で、15世紀頃には既に当時のアステカ帝国で「神聖な花」として大切にされていました。
18世紀末にスペインを通じてヨーロッパに伝わると、各国でも「花の女王」として愛され、日本にはオランダを通じて19世紀半ばにもたらされました。
世界中で盛んに品種改良が行われた結果、サイズは超巨大輪から巨大輪・大輪・中輪・小輪・極小輪まで、咲き方は一重咲き・ポンポン咲き・ボール咲き・デコラティブ咲きなどおよそ16種と多彩。
花色も赤・ピンク・黄・オレンジ・白・紫のほか、複数の色が混ざった複色まで幅広く、園芸品種として作られてきた数は実に3万種とも言われています。
数多いダリアの品種・種類のなかでも、特に人気が高いものとしては以下が挙げられます。
■「マキシ」シリーズ
花の大きさは8~10cmほど、名前のとおり草丈が50cmにもなる高性種のダリアです。
可愛らしい印象の八重咲きで、よく枝分かれしてたくさんの花を咲かせるものの、コンパクトにまとまることから寄せ植えによく使われます。花持ちが良く切り花としてもおすすめ。
濃いピンク色の「メンドーサ」、オレンジと黄色の複色「エッジズオレンジ」、白と赤紫の複色「カンクン」など、多くの花色があります。
■秋桜(アキザクラ)
銅のように赤黒く光る特徴的な葉「銅葉」を持ち、濃いピンク色をした一重咲きの花を咲かせます。
ダリアの原種に近い花姿で、名前のとおり秋桜(コスモス)に似ていることから名づけられました。寄せ植えにしやすい品種です。
■黒蝶
舟形の長い花びらが幾重にも重なる、豪華なデコラティブ咲きの品種。秋桜と同じ銅葉を持ち、濃い赤ワインのように黒みを帯びた深い赤色をした、直径15cmほどの中大輪の花を咲かせます。
シックな花姿で切り花としてよく使われますが、花壇などへの地植えも人気です。
■皇帝ダリア(キダチダリア/コダチダリア)
植物の体内でリグニンという成分が増えることで茎が茶色く変色し、木のように固くなることを「木質化」と呼びますが、皇帝ダリアもこの木質化によって茎が太くなり、それによって草丈が巨大に育つ品種です。
成長すると5mほどにもなり、建物の2階の窓からも鑑賞できるほど。11月頃に、紫がかったピンク色をした20cmほどの一重咲きの花を咲かせます。
本来の大きな姿に育てるには地植えが必要ですが、育成期間の短い幼苗を8~10号鉢(直径24〜30cm)ほどの鉢植えで育てると、小ぶりなサイズで楽しむこともできます。
切り花で購入するときは、長く楽しむためにも新鮮なダリアを選びたいですよね。お花屋さんで元気なダリアを選ぶには、下記の点に注意してください。
ダリアは元気がなくなると花の重みに負けて茎が曲がり始めます。また日にちが経過している花は、外側から傷み始め、花びらのほかに萼(ガク)が変色している場合もありますので注意しましょう。
さらにダリアの雄しべが見えていると、そのお花は開花のピークを迎えて完全に開き切ってしまっていることになります。その後はすぐに枯れ始めてしまうため、中心部がしっかり覆われたものを選ぶと長く楽しめるでしょう。
ここからは、ダリアを育てる場合のコツをポイントごとにご紹介します。
■設置場所
ダリアは日当たりと風通し・水はけの良い場所を好みます。また熱帯である中南米の高地が原産のため、暑さに比較的強く寒さには弱い品種です。
ただし原産地と日本とでは夏の気候も異なるため、真夏には生育している場所が高温になりすぎないよう注意してください。また冬場に気温が10度以下になる地域では、室内での管理をおすすめします。
■日当たり
ダリアは日光が大好きですが、日本の夏の高温と直射日光は苦手としています。日当たりの良い場所を好むとはいえ、真夏に直射日光や照り返しが長時間当たるような場所は避けてください。
鉢植えの場合、夏場の日差しが強くなる時間帯は日陰になる場所に移動させましょう。
また地植えの場合は、遮光ネットやよしずなどで日除けをする、土に敷き藁をして温度が上がりすぎないようにするなどの対策を行います。
■水やり
植え付け直後のダリアは、水をやりすぎると生育不良や根腐れを起こしやすいので、土が完全に乾いてから水やりするようにします。大きくなった後も過度の水やりはNG。
地植えの場合は基本的に水やりをしなくても大丈夫ですが、雨が極端に少ない時期には行ってください。いずれも、土の様子の確認はお忘れなく。
水やりの際は株の根元に優しく注ぎ、水の勢いで花やつぼみを傷つけたり泥はねで汚さないように注意しましょう。
水を与える際は、鉢植えであれば底から溢れるくらいたっぷりと与え、葉の表と裏にも水をかけます。
■病気・害虫対策
ダリアは、ウイルス病・うどんこ病・灰色カビ病・アブラムシ・ハダニなどに注意が必要です。
花ばさみなどの用具はこまめに消毒し、鉢皿に溜まった水はすぐに捨ててください。また病気の原因となるカビが発生しないよう、水はけと風通しに気をつけます。
害虫対策には、早期発見のため日頃からダリアの様子をよく見ておくことが大切です。見つけ次第、市販の薬剤で駆除してください。ハダニ対策には、葉に水をかける「葉水」も有効です。
ダリアのより詳しい育て方については、こちらの記事も参照してください。
日比谷花壇では、ダリアをはじめとしたアレンジメントや花束、花鉢などを幅広く取り揃えています。また特設ページ「旬の花特集」では、その時期に見頃を迎えるフラワーギフトを花言葉とともにご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
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ここまでダリアをプレゼントとして贈ろうと考えている方向けに、その花言葉や由来、プレゼントにおすすめのシーン、特徴・基本知識などをご紹介してきました。
色や形が豊富で華麗なダリアは、初心者からお花好きな方にまで幅広く喜んでもらえるお花。膨大な品種・種類が存在し、知れば知るほどその奥深さに驚かされます。
花言葉や基礎知識を知ることで、より深くその魅力を味わえるのではないでしょうか。今回の記事を参考に、ぜひ喜ばれるフラワーギフトを選んでください。