そもそも移転祝い・新改築祝いとは
そもそも、移転祝いや新改築祝いとは何でしょうか。まずはその目的とともに、なぜお祝いをした方が良いのか、どのような形でお祝いを伝えるべきかをご説明します。
移転祝いの目的
移転祝いとは、企業が本社や事務所・店舗などを移転する際にお祝いをすることです。また、新改築祝いは家などを新築・改築したときに行うお祝いですが、ここでは取引のある企業がオフィスや店舗を新改築した場合について行うお祝いを対象として説明していきます。
企業がオフィスや店舗を移転するのは、事業が順調に拡大した結果、フロアが手狭になったり新しい拠点が必要になったりした場合がほとんどです。「今後もさらに発展していってほしい」「これからも取引を続けたい」という気持ちを表すもので、本質として事業の成功を祝う目的があります。したがって事業縮小や撤退のために行う消極的な移転については、移転祝いをする必要はありません。。
知らせを受けたらまずお祝いの気持ちを伝えよう
取引のある企業から移転や新改築の連絡を受けたら、まずは電話やメールなどでお祝いを伝えます。このとき、事前に「移転祝い/新改築祝いの品物をお贈りしたい」と申し出て、問題がないか確認を取るようにしましょう。企業によっては、規則で取引先から贈答品を受け取ることを一切禁止しているケースがあります。断りなしに移転祝いや新改築祝いを贈ると却って先方の迷惑になってしまうことがあるため、注意してください。
また移転祝いや新改築祝いは、業務の受託元の企業とともに、下請けとして業務委託している先の企業に対しても行います。
移転祝い・新改築祝いには何を贈る?
移転祝いや新改築祝いには、フラワーアレンジメント・胡蝶蘭などのラン鉢・観葉植物・花鉢などに、贈り主の名前札をつけて贈ります。
移転祝いや新改築祝いには、先方の新しいオフィスや店舗に飾っていただけるようなもの、かつ喜ばれるものを贈りたいですね。人気のお祝いとしては、社屋に華を添える目的で、華やかな生花やラン鉢が主流ですが、インテリアになる観葉植物もよく贈られます。また、生花よりも長持ちするプリザーブドフラワーや、絵画のように壁掛けに仕上げたフラワーフレームアートなども人気です。
移転祝い・新改築祝いはいつ贈る?
移転祝いや新改築祝いを贈るタイミングは、ケースバイケースです。移転先でお披露目会やオープニングパーティーが開かれる場合は間に合うように贈っておくか、当日に持参するのがよいでしょう。それらの催しが行われない場合、 移転の前日から2週間以内 に贈るのがよいとされています。
移転の最中など多忙時は避けます。基本的に、移転前々日までが作業で忙しい時期にあたります。営業開始日にお届けするかどうか、ご都合をうかがうのもいいでしょう。
新住所での営業開始日は都合等で延期になる場合もあるため、注意してください。移転先の電話番号は必ず調べておきましょう。
また個人のお宅へのお届けが必要な場合には、引越しの日にちを正確に確認しておきます。
移転祝い・新改築祝いの金額相場
移転祝い・新改築祝いの金額相場は、企業との関係によって変わります。それぞれの相場を、以下の表から確認しておきましょう。
通常の取引先 | 3万~5万円程度 |
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友人・知人の企業 | 5,000~1万円程度 |
親族の企業 | 1万~3万円程度 |
移転祝い・新改築祝いは、企業同士による取引の一環です。相場よりも安いと他のお祝い品より見劣りがしてしまいますし、失礼にあたる場合があります。また重要な取引先の場合は5万円以上の金額で贈る場合もありますが、豪華すぎても先方がお返しをする際に気を遣わせてしまいます。相手先の企業との関係性や、事業の規模感などを考慮して決めましょう。
移転祝い・新改築祝いのマナー
次に、移転祝い・新改築祝いを贈る際に必ず押さえておきたいマナーを紹介します。
贈り物の包み方


移転祝い・新改築祝いを品物で贈る際は、必ず「熨斗(のし)」を付けて贈ってください。熨斗袋には、移転祝いの場合は水引に花結び、新改築祝いの場合は蝶結びが使われているものを選びます。表書きには「御祝」「御移転御祝」などと記します。贈り主の名前には企業名単体、または企業名と代表取締役の名前を記載します。個人として贈る場合は、企業名は書かず個人名のみにします。
通常、目上の方へのお祝いとして現金を贈ることは失礼にあたると言われますが、移転祝い・新改築祝いでは新札を用いれば問題ないとされています。ただし、人によってはあまり好まれない場合もありますので、気心の知れた友人や親族のみがよいでしょう。現金の場合も、花結びの水引を用いた祝儀袋を用います。
立札・カードなどの表記

※立て札は、依頼したお花屋さんによって書き方が異なる場合があります。
移転祝い・新改築祝いとしてお花を贈る際は、熨斗(のし)の代わりに立札が必要です。
商品に合わせた大きさの立て札を選び、頭文字と贈り主名を書きます。「祝」「御祝」「祝移転」「祝新築」「移転御祝」などと記し、横に自社の社名と代表取締役の名前を記します。贈り先の企業名を入れる場合もあります。
【文例付き】移転祝い・新改築祝いにはメッセージも添えよう
移転祝い・新改築祝いを贈るときには、お花やお祝いの品にメッセージカードを添えて渡すと、より深くお祝いの気持ちが伝わり丁寧な印象を与えます。新たな門出を祝福する文言とともに、さらなる発展や活躍を願う言葉を続けるのが基本です。
ただし、「忌み言葉」と言われる表現は使ってはいけません。閉店・閉業や倒産・廃業を想像させる「赤字」「傾く」「潰れる」「倒れる」「寂れる」「衰える」「終わる」「失う」「落ちる」「枯れる」「飛ぶ」、火事などを連想させる「火事」「燃える」「焼ける」「煙」「灰」などがNGです。
移転祝い・新改築祝いにおすすめのメッセージ文例は、以下を参考にしてください。
新たなオフィスでのご出発に際し、心よりお祝い申し上げます。御社のますますのご発展と、皆さまのご健勝をお祈りしております。
この度は事業拡大によるご移転とのこと、誠におめでとうございます。新たな環境にて、貴社のさらなるご繁栄をお祈り申し上げます。
お店のご改装、おめでとうございます。千客万来とますますのご躍進をお祈りいたします。
移転日が過ぎていた場合にお祝いを贈ってもいい?
お祝いをしそびれたまま移転日から1ヶ月以上経ってしまった場合は、移転祝いという名目で贈るのはやめておきましょう。通常この時期は、先方では既に贈られてきた移転祝いに対してお返しを完了させています。遅れて後から贈られてくると、先方はまた改めてお返しを準備しなければならず、却って迷惑をかけてしまいます。このような場合には、お返しの不要なお菓子などを持参したうえで、移転先へ直接挨拶へ伺うことをおすすめします。
移転祝い・新改築祝いのお返しの仕方
逆に、お取引先から移転祝い・新改築祝いをいただいた場合、お返しの仕方にはどういった方法があるでしょうか。
一般的なのは、お世話になっている企業の方を招待して、新オフィス・新店舗のお披露目会やオープニングパーティを開き、おもてなしをする方法です。そういった催しを実施する予定がない場合は、別途、簡単な食事会を開催するとよいでしょう。
品物でお返しをする場合は、いただいた物の1/3~半額程度の「半返し」と呼ばれる金額で、お返しを贈ります。常温で日持ちのするお菓子の詰め合わせや、タオルなどの日用品、カタログギフトといった実用品が良いとされます。紅白の蝶結びの水引を使った熨斗紙をつけ、表書きは「御礼」「移転/新改築内祝い」とします。記名は店名や会社名にしましょう。あまり高額なお返しはかえって失礼にあたるので注意してください。
自社の移転であっても、同じビル内でのフロア移転で式典なども開催しない場合は、お祝いをいただいたとしてもお返しは不要です。
移転祝い・新改築祝いでお花を贈る際の選び方
それでは、移転祝い・新改築祝いにおすすめのお花のスタイルを見ていきましょう。
華やかなフラワーアレンジメントは、お祝いに華を添えます。新しくなった受付や社内にそのまま飾っていただくことができます。
また、ラン鉢をはじめとした花鉢も、華やいだ雰囲気で飾っていただけることから人気があります。高級感のある胡蝶蘭から、可愛らしい印象の小花の寄せ植えまで、贈り先の雰囲気や予算に合わせて選びましょう。
またインテリアとしても長く置いていただける観葉植物は、葉が落ちにくく丈夫なものがおすすめ。中鉢から背丈以上の大鉢までのサイズの鉢に、鉢カバーを付けた状態で贈ります。
お祝いの式典や飾る場所がある取引先には、スタンド花をお届けする場合もあります。
プリザーブドフラワーは、ドライフラワーや造花とはまったく異なる加工花です。生花のうちに色素を抜き、特殊な染料を吸わせることで、色鮮やかな美しさとソフトな風合いを長期間にわたって保ちます。カラーバリエーションも豊富で、水やりの必要もなく長期間に渡って楽しんでいただけます。
まとめ
ここでは、取引先の企業が本社や事務所・店舗などを移転する際に行う移転祝いと、オフィスや店舗を新改築した場合について行う新改築祝いについて、マナーや金額相場、おすすめのメッセージ、お花の選び方などをご説明しました。移転祝いや新改築祝いは、企業間の大切なやりとり。また新しいオフィスや店舗のインテリアの1つとして、華やかな生花や人気の観葉植物は、多くの人の目につくものでもあります。作法をきちんと守ったうえで、お祝いの気持ちを込めて、センス良く喜ばれるお祝いを贈りましょう。