
敬老の日には、還暦や古希などの長寿祝いを一緒に行うこともあります。「還暦には“赤いちゃんちゃんこ”を贈る」などの決まりがある長寿祝いですが、それぞれの年齢においてそのお祝いの仕方をご存じでしょうか。ここでは主な長寿のお祝い10種類について、その意味・内容からお祝い方法、予算相場、おすすめのプレゼント・ギフトなどをご紹介します。
敬老の日と長寿祝いの関係
敬老の日は、国民の祝日に関する法律(祝日法)において「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」と規定されています。ただし、何歳になったタイミングから敬老の日をお祝いするべきなのか、法律上の明確な決まりはありません。
このため、敬老の日をいつからお祝いするかには、ご家庭ごとにそれぞれ決めることになります。
「還暦」や「古希」などといった長寿祝いは、定年退職を迎えたり、孫ができて「おじいちゃん/おばあちゃん」と呼ばれ始めたりする、いわば人生の節目の年齢で、敬老の日のお祝いを始めるタイミングとしても最適。そこで、長寿のお祝いと敬老の日を一緒に祝うご家庭が多いのです。
長寿のお祝いの種類
ここからは、長寿のお祝いにはどんな種類があるのか見ていきましょう。
ただしお祝いの年齢や仕方は、お住まいの地域やご家庭によって異なる場合があります。ここでは代表的なものを挙げていますが、あくまで参考程度とし、特定の伝統や慣習があるか、お祝いの前にあらかじめ家族や親族同士で確認していただくことをおすすめします。
還暦(60歳)のお祝い
長寿祝いの中で、もっとも代表的と言えるのが「還暦(かんれき)」です。60歳のお祝いですが、これは暦の数え方である「十干十二支(じっかんじゅうにし:十干と十二支わせ)」がひと巡りして、生まれたときの元の暦に還るという意味があります。元の暦に戻る=再び生まれる、つまり赤ちゃんに還ると解釈され、魔除けの色である赤色のものを贈る習慣があります。赤いちゃんちゃんこなどが有名ですね。
古希(70歳)のお祝い
70歳のお祝いである「古希(こき)」とは、中国・唐代の大詩人として名高い杜甫の「曲江」という詩でうたわれている「人生七十古来稀なり」に由来します。「70年生きる人は古くからきわめて稀である」という意味です。古希のお祝いは、稀なほど長く生きた人への尊敬の念をこめて、日本古来の律令制で高位の色とされていた紫(もしくは紺色)を使用します。
喜寿(77歳)のお祝い
77歳のお祝いである「喜寿(きじゅ)」は、「喜」という字を草書体で書くと「十七」の上に「七」が付いたような文字になり、「七十七」に見えることに由来します。お祝いの色は、古希と同じ紫(紺色)を使用します。
傘寿(80歳)のお祝い
80歳のお祝いは「傘寿(さんじゅ)」で、「八十寿(やそじゅ)」とも呼ばれます。「傘寿」の由来は、傘の字の略字が「八」と「十」を組み合わせた形をしていて、八十と読めるためです。また傘はその形状が末広がりであるため、縁起が良いとされていることもあります。お祝いの色は、この年齢を迎える方への尊敬をこめて、古代中国で皇帝や皇位を表す色として使われていた黄色を使用します。
米寿(88歳)のお祝い
88歳のお祝いは「米寿(べいじゅ)」。これは、「米」という字を分解すると「八十八」になるためです。また「八」の字は末広がりで縁起が良いものとされており、それがさらに2つ重なっていることでおめでたさが増すという由来もあります。お祝いの色は傘寿と同じ黄色を使用します。
卒寿(90歳)のお祝い
90歳のお祝いである「卒寿(そつじゅ)」は、「卒」の字の略字が「九」と「十」を組み合わせたものに見えることから採られています。お祝いの色は、純粋無垢で神聖な色である白を使用します。
白寿(99歳)のお祝い
99歳のお祝いである「白寿(はくじゅ)」は、「百」の字から「一」を取ると「白」の文字になることに由来します。お祝いの色は、この年を迎える人への尊敬を込めて、卒寿と同じ白となっています。
百寿/紀寿/上寿(100歳)のお祝い
100歳のお祝いを「百寿(ももじゅ)」もしくは「紀寿(きじゅ)」と呼びます。100歳であることに由来します。「百寿」はその字の通りですが、「紀寿」は1世紀が100年であることにちなんだものです。また寿命を上・中・下の3段階に分け、100歳はその1番上の段階にあたることから「上寿(じょうじゅ)」と呼ぶ場合もあります。お祝いの色は白です。
茶寿(108歳)のお祝い
108歳のお祝いが「茶寿(ちゃじゅ)」です。「茶」という字を分解すると草冠が「十と十」、残りの部分が「八十八」となり、すべてを足した数が「108」になるためです。茶寿から先のお祝いの色には特に決まりがありませんので、おじいちゃん・おばあちゃんの好きな色でお祝いしてみてはいかがでしょう。
皇寿/川寿(111歳)のお祝い
100歳のお祝いを「皇寿(こうじゅ)」もしくは「川寿(せんじゅ)」と呼びます。「皇」という字を分解すると、パーツがそれぞれ「白(百から一を取った99の意味)」「十」「二」となり、すべてを合算すると111になることが由来です。川寿に関しては、「川」の字が「111」と見えることから採られています。お祝いの色はありませんので、おじいちゃん・おばあちゃんの好きな色を選んでみてください。
長寿のお祝いの方法
長寿祝いにあたって、最初のうちはどんな方法でお祝いすればよいか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。以下のような方法でお祝いしているご家庭が多いようです。
- お祝いのプレゼントを贈る
- 家族・親族で集まって食事会をする
- 家族・親族で旅行をする
長寿のお祝いのプレゼントには、以下のものがよく贈られています。
- お花
- お菓子やグルメ、お酒などの消えもの
- 身に着けるもの
身に着けるものに関しては、従来は「ちゃんちゃんこ」「頭巾」「扇子」「座布団」などが贈られてきました。
現在でも還暦の際の「赤いちゃんちゃんこ」などに一部が残っていますが、近年では服装や好みの変化に伴って、「バッグ」「財布」「ネクタイ」などの実用的な品や、記念となるお花を選ぶ方が多くなっています。
またプレゼントは長寿祝いの年齢ごとに決められているお祝いの色にちなんで選ばれることが多いものでしたが、こちらも必ず守らなければならない決まりというわけではありません。おじいちゃん・おばあちゃんの好きな色を選んでも大丈夫です。
旅行や食事会で外食をする場合は、おじいちゃん・おばあちゃんに負担をかけないよう、体調を考慮して場所を選ぶと良いでしょう。持病があったり後期高齢者(75歳以上)にあたる年齢であれば、自宅やその周辺でのお祝いが良いかもしれません。
数え年と満年齢の違い
長寿祝いは、もともと「数え年」で祝うものでした。
数え年とは生まれた瞬間から1歳とカウントし、そこから元旦を迎えるごとに1歳ずつ年を取るとする数え方です。
しかし、現在では生まれた日を0歳として、翌年の生まれた日(誕生日)に1歳を迎える「満年齢」が公的に採用され、こちらで祝うのが一般的になっています。長寿のお祝いはどちらの数え方で祝ってもOKですが、基本的には満年齢でのお祝いで問題ありません。
1点だけ、還暦を数え年で祝う際は注意が必要です。
還暦の場合、その由来が「十干十二支がひと巡りして生まれたときの暦に還ってくる」というものなので、満年齢ではそのまま60歳になりますが、数え年では61歳でのお祝いになります。
長寿祝いのプレゼントにNGなもの
長寿のお祝いの品を選ぶ際、贈ってはいけないタブーなものがあります。親しき中にも礼儀ありとして、以下のNGアイテムには気を付けましょう。
- 「苦」「死」をイメージさせる縁起の悪いもの(櫛、仏花など)
- 「寝付く」「寝たきり」を連想させるもの(寝具やパジャマ)
- 縁切りを連想させるもの(刃物など)
- 足で踏み付けて履くもの(靴下・スリッパなど)
- プライベートなもの(下着類)
- 現金・金券類
贈答品のタブーは、基本的に「その品物を贈ることで相手にどんなことを連想させるか」が元になっています。たとえば「櫛」は語呂合わせが「苦」「死」を連想させます。寝具やパジャマは「寝付く」「寝たきり」のイメージに繋がり、現金やそれに準じる商品券などの金券類は、人によっては「お小遣いを与えられている」「直接的すぎて失礼」と感じる場合があります。またプライベートな下着類や「踏みつけて使用する」スリッパや靴下なども、目上の方には失礼にあたるとされています。
こういったことが気にならないおじいちゃん・おばあちゃんだったり、先方から「これが欲しい」と指定された場合以外は避けた方が無難でしょう。
長寿のお祝いの予算相場
長寿のお祝いをする際は、実際にどんな予算で行えばよいのか見てみましょう。
敬老の日の予算相場で一番多いのは3,000~5,000円ほどと言われています。その次に多いのが5,000~10,000円の商品。決まりが特にあるわけではありませんが、これくらいの金額が相場のようです。
おじいちゃんおばあちゃんが還暦や古希、米寿など節目の年の敬老の日は、「長生きしてね」の願いを込めた10,000円前後の特別なギフトを贈るのもおすすめです。また、他の家族や親戚と予算を出し合って、記念となるような品物や食事会・旅行などをプレゼントするのも良いでしょう。
ただし、これらの金額はあくまで目安になります。あまり高額になっても、贈られる側の負担になってしまうかもしれません。もっとも大切なのは、おじいちゃん・おばあちゃんへの感謝とお祝いの気持ちを伝えること。ご自身が無理なく出せる範囲の予算で敬老の日ギフトを贈りましょう。
長寿のお祝いにおすすめのフラワーギフト
日比谷花壇では、長寿祝いにぴったりな、縁起の良いギフトを多数取り揃えております。
この他にも、還暦であれば赤バラ、傘寿や米寿であれば白いバラなど、おじいちゃん・おばあちゃんの好きな色やお花の種類から選んでみても素敵ですね。
また花言葉を参考にしてみるのもおすすめです。
おわりに
ここまで、敬老の日に一緒にお祝いされることの多い長寿のお祝いについて、その種類やお祝い方法、予算相場、おすすめのプレゼント・ギフトなどをご紹介してきました。
長寿のお祝いに際して何より大切なのは、おじいちゃん・おばあちゃんを労り、感謝の気持ちを伝えることです。いくつかの必要なポイントを押さえたうえで、敬老の日にはご家族で思い出に残る素敵な長寿のお祝いの時間を過ごしてください。

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